瀬戸一夫『ムーミンの哲学』P243~
■コペルニクス的な解釈の転回
メルヘンというものは、いつもと少し違った眼差しをむけることを、どこか誘っているところがある。
・本書で用いた解釈法
一つの作品が何をテーマとしているのかをよく考え、その文脈で個々の台詞や出来事を受け取らなければならない。
個々の台詞や出来事が持つ意味に配慮しながら、想定された文脈を絶えず点検し、その奥行きに迫らなければならない。
不可解に思える事柄と、そうでない事柄とを明確に区別し、それぞれに固有な論理があることを考慮しなければならない。
意味不明な展開は、他の明確な台詞や出来事が持つ意味から、しかもそれらすべてが相互に整合する観点を模索しつつ理解すべきである。
一つの作品において、個々の台詞から出来事はいずれも、わたしたちが作品の外側から持ち込む常識を背景としているのではなく、その作品に固有な世界のなかでのみ、本来の意味ないし内容を示している点に配慮しなければならない。
したがって、常識的な観点から作品に固有な世界を覗き込むだけではなく、その世界に入り込んだ観点から、むしろわたしたちの抱え込んだ常識を眺めなおしてみるのがよい。
最後に、優れた作品の内容は首尾一貫しているものと仮定して、その理解に努めることが基本であり、もしも首尾一貫していないのであれば、それは優れた作品ではありえない。


